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訓練士について

訓練士とは?

最近は「犬は家族の一員」としての認識が深く浸透し、室内での犬の飼育率が非常に高くなってきています。また、家族で外出する時は犬も一緒に連れて行くという方も増えています。犬との楽しい生活をするためには、犬が社会の一員として受け入れられるよう、マナーなどを教える必要があり、そのために多くの飼い主が「しつけ」や「訓練」に強い興味を持つようになってきました。犬の基本的なしつけをすることは飼い主の大きな責任ですが、知識や経験がない場合、難しい場合があります。
そこで、犬が人間社会で暮らしていくための基本的ルールをきちんと教えたり、さらには、災害救助犬や警察犬といった非常に高度な作業を行う犬まで、飼い主の問題や要望に応じた犬を訓練するプロフェッショナルが必要とされています。これが「犬の訓練士」なのです。

訓練士の資格はどのようなものですか?

一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、技術と経験のレベルによって、訓練準士補、訓練士補、訓練練士、訓練教士、訓練範士、訓練師範、の6種類の公認訓練士資格を発行しています。
資格がなくても犬の訓練をしたり、各地の訓練競技会に参加することができます。資格取得者は、一般の部での出陳となります。

訓練士にはさまざまな活躍の場があります

訓練士というと、家庭犬の訓練士、警察犬の訓練士、盲導犬の訓練士などが有名です。この他にも、現在では災害救助犬の育成、麻薬探知犬・水難救助犬・山岳救助犬・聴導犬・介助犬・セラピードッグの育成など、各種の分野で訓練士が活躍しています。一口に犬の訓練士といっても、実に広い世界ですね。

これらの分野は、それぞれ資格制度として確立しているものもあれば、そうでないものもあるので注意が必要です。資格については、資格の認定団体もさまざまあります。

一般社団法人ジャパンケネルクラブの公認訓練士の役割について

公認訓練士は、犬のしつけと訓練、飼い主のモラル向上、犬と愛犬家が楽しめるドッグスポーツの提供、犬を通しての社会貢献など、多様な役割を担っています。特に主要な分野といえるのが、家庭犬訓練(及び警備犬訓練)、FCI国際作業犬(IGP)、災害救助犬、BH(同伴犬訓練試験)、アジリティー、フライボールなどがあります。本会の公認訓練士は、各種競技会に積極的に参加するとともに、研修会に参加し、日夜訓練レベルの向上と社会貢献に努めています。

公認訓練士として活躍する人は、心から犬を愛する気持ちと、人と対面してきちんとコミニュケーションがとれるスキルが必要です。
犬は社会性豊かな個性のある動物です。犬を訓練する方法はさまざまあり、マニュアル通り行えば必ず成功するという性質のものではありません。個々の犬の性質・性格などを的確に把握し、適切な取り扱い方法で、愛情と情熱を持って犬と心を通わせてこそ、訓練の道は開けてきます。
犬は、人間の本心を容易に見抜きます。犬が好きであるということは、公認訓練士として活躍するための好条件になります。 適正として、犬に愛情を持って接することが出来ない人や、他人と上手に交流することができない人は、公認訓練士には不向きかも知れません。

もうひとつ忘れてはならないのは、広い意味での社会性を身につけることです。現代社会における犬の役割や社会情勢などに絶えず注意し、自己の役割を認識しなければなりません。犬による警備、災害救助犬の出動などの事態にも対応できるように、日頃から政治情勢や社会の事件などに関する最新情報をいろいろなメディアから入手しておく必要があります。一例として、ペット共生マンションの普及など住宅事情の変化に対応し、飼い主側の問題点やしつけについて的確にアドバイスや指導ができるよう、努力することも必要となります。

そして、他の訓練士と協力しながら、公認訓練士の発展と本会組織との連携、動物愛護思想の啓蒙など、公認訓練士としての高い理想を持ち活躍することが求められているのです。

FCI 国際作業犬試験(IGP)について

公認訓練士として知っておきたいのが、国際作業犬規程いわゆるIGPです。IGPは、世界共通の訓練課目を世界共通の審査基準で試験するものです。世界各国で世界中の訓練士がIGPに取り組んでいます。IGPは極めて高度な訓練技術が必要とされます。公認訓練士であれば、ぜひIGPにチャレンジしたいものです

B.H.(ベーハー、同伴犬訓練試験)について

B.H.(ベー・ハー)同伴犬訓練試験は、都市生活において犬が人とともに平静な態度で行動できるかを、様々な角度から試す試験です。
もともとドイツで取り入れられていたものを、本会が積極的に導入しました。
B.H.は、道路などの往来において、車やバイクなどが通過する際の犬の態度などを試験する実践的な訓練です。公認訓練士は、B.H.の有用性に着目して、その普及に努めています。

資格を取得するには?

まずは、本会のクラブ会員になる必要があります。入会手続きの窓口は最寄りの愛犬クラブとなっています。少なくとも1年以上の会員歴がないと、資格取得試験にチャレンジすることができません。最寄の愛犬クラブについては、お電話いただければご紹介いたします。

もちろん何年の会員歴があっても、いきなり上のレベルの資格を取得できるわけではありません。まずは、訓練練士へのチャレンジから始めていただくこととなります。訓練練士のチャレンジ前に、訓練準士補や訓練士補を取得して実績を作る方法もあります。

また、公認訓練士になるためには、資格取得試験の受験前に、指導手(犬を訓練しコントロールする者)として犬とともにチャレンジする訓練試験で、必要頭数を合格させ登録を済ませなければなりません。訓練試験は、いわば犬の訓練資格試験のようなもので、訓練課目(おすわり、フセなど)を試験し、合格することでCDⅠ、CDⅡなどの合格犬として登録されることになります。これを指導手の側から見ると、訓練の実績ということになります。この訓練実績こそが資格取得試験の受験要件であり、各資格のステージによって、求められる訓練試験の訓練実績も異なってきます。

一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、訓練のカテゴリーを「家庭犬」、「警備犬」、「FCI国際作業犬試験(IGP)」に分けています。このうち「家庭犬」の訓練試験のことを「Companion Dog」の頭文字をとってCDといい、レベルによって、CDⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅹ までの4つのレベルがあります。ちなみに CDⅠ は初等科ですので試験する課目は5つだけですが、Ⅱ は10課目、Ⅲ は20課目、Ⅹ は30課目と難しくなっていきます。

また、「警備犬」訓練試験のことを「Guard Dog」の頭文字をとってGDと称しています。GDにはⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つのステージがあります。

IGPは、FCI(国際畜犬連盟)の定める国際作業犬試験規程に基づいて行われる訓練試験で、まさに訓練試験の世界最高峰です。

資格取得方法

訓練準士補

年齢満18歳以上、かつ、2年以上クラブに在籍し、入会以降に、指導手として訓練競技会における訓練試験で登録されたものが1頭(当該犬はCDⅠ以上の2科目の合格犬であること)以上の者。ただし、試験の受験は入会した日の翌々年の同月に行われる試験から受験することができる。

※当該犬は同じ犬とし、CDⅠとCDⅡを別々の犬で受験・登録した場合、準士補の実績としては認められません。

※訓練準士補を受験する方は、居住地のブロック訓練士協議会に所属する、公認訓練範士以上の資格者、又は公認訓練所所長の推薦が必要となります。

試験:筆記試験(下記受験の方法をご確認ください)

訓練士補

本会公認トリマー指定機関ならびに研修機関で2年間の所定の課程を修了した方のみが取得することが可能です。
指定並びに研修機関であっても訓練士補取得のコースを設けていないこともありますので、各機関にご確認ください。

※公認トリマー養成機関 (指定機関・研修機関)は、こちら

試験:学科試験及び訓練実技試験

訓練練士

訓練練士を受験するには、次の3つの必要要件のうち、どれかひとつを満たしている必要があります。
その他に訓練競技会の出場実績が必要となります。「指導手実務確認書」を下記の問合わせ先にご請求いただき、訓練競技会出場時、主催者に提出してください。なお、出場実績は2012年1月まで遡った記録も含むこととします。

  1. 年齢満18歳以上で、1年以上のJKCクラブ会員籍があり、公認訓練所の所員として登録され、入会以降、かつ、公認訓練所在籍中に、指導手として受験した訓練試験で、5頭以上の犬を合格させた者。(5頭は異なった犬で、少なくともそのうち3頭は CDⅠ 以外の合格犬であることが必要です。また、合格後の登録が必須です。)かつ、指導手として、異なる訓練競技会に3回以上出場していること。ただし、試験の受験は、入会した日の翌年の同月に行われる試験から受験することができる。
  2. 年齢満18歳以上で、2年以上のJKCクラブ会員籍があり、入会以降に、指導手として受験した訓練試験で、10頭以上の犬を合格させた者。(10頭は異なった犬で、少なくともそのうち5頭は CDⅠ 以外の合格犬であることが必要です。また、合格後の登録が必須です。)かつ、指導手として、異なる訓練競技会に3回以上出場していること。ただし、試験の受験は、入会した日の翌々年の同月に行われる試験から受験することができる。
  3. 訓練準士補、または訓練士補資格を取得してから2年以上経過し、訓練準士補、または訓練士補取得後の指導手として行った訓練試験で3頭以上の犬を合格させた者。(3頭は異なった犬で、少なくともその内2頭はCDⅠ以外の合格犬であることが必要です。また、合格後の登録が必須です。)かつ、指導手として、異なる訓練競技会に3回以上出場していること。

※訓練練士を受験する方は、居住地のブロック訓練士協議会に所属する、公認訓練範士以上の資格者、又は公認訓練所所長の推薦が必要となります。

試験:筆記試験(下記受験の方法をご確認ください)

訓練教士

年齢満25歳以上で訓練練士として2年以上の経験が必要。訓練練士資格取得後に指導手として受験した訓練試験で登録されたものが、のべ40科目以上の者。そのうち3頭以上がCDⅢ 以上、OBⅠ以上、GDⅠ以上、IGPⅠ以上または災害救助犬認定試験A 以上の合格犬であること。

試験:筆記試験(下記受験の方法をご確認ください)

訓練範士

年齢満30歳以上で教士経験3年以上、教士取得後の指導手として行った訓練試験で登録されたものが、のべ40科目以上の者。そのうち3頭以上が CDⅩ以上、OBⅡ以上、GDⅠ以上、IGPⅠ以上または災害救助犬認定試験B 以上の合格犬であること。

試験:筆記試験(下記受験の方法をご確認ください)

受験の方法

公認訓練士資格取得試験 (訓練士補を除く) は、全国14のブロック訓練士協議会で年1回実施することができ、その期日等の詳細は、本会会報「JKCガゼット」およびこちらに掲載されます。
受験を希望される方は、受験されるブロック訓練士協議会事務局に受験願書と受験料(5,400円)を添えて、締切日までにお申し込みください。

注意事項

  1. 訓練士資格を所持していない受験者は、生年月日及び居住地を証明できるもの(住民票・免許証等の写し)を併せて添えてください。
  2. 訓練準士補及び、訓練練士を受験する方は、居住地のブロック訓練士協議会に所属する、公認訓練範士以上の資格者、又は公認訓練所所長の推薦が必要となります。
  3. 居住地と異なるブロックにて受験される場合は、受験願書をご自身の居住地のブロック訓練士協議会を経由のうえ、受験するブロックへお申込みください。
  4. 訓練練士を受験希望される場合、「指導手実務確認書」を併せて添付してください。下記お問い合わせ先までご連絡いただければ、おって「指導手実務確認書」をご送付いたします。

ブロック区分

北海道ブロック 北海道
東北ブロック 青森/岩手/秋田/宮城/山形/福島
北関東ブロック 栃木/群馬/茨城
千葉ブロック 千葉
埼玉ブロック 埼玉
東京ブロック 東京
神奈川ブロック 神奈川
北陸甲信越ブロック 山梨/長野/新潟/富山/石川
中部ブロック 静岡/愛知/岐阜/三重
近畿ブロック 福井/和歌山/奈良/滋賀/京都/兵庫
大阪ブロック 大阪
中国ブロック 岡山/広島/山口/鳥取/島根
四国ブロック 香川/愛媛/徳島/高知
九州ブロック 福岡/佐賀/長崎/熊本/大分/宮崎/鹿児島/沖縄

訓練士資格登録者数(2000年以降)

  訓練準士補 訓練士補 訓練練士 訓練教士 訓練範士 師範 合計
2000年度 520 816 267 178 14 1,795
2001年度 601 891 264 175 13 1,944
2002年度 708 943 249 185 13 2,098
2003年度 784 1,027 264 185 13 2,273
2004年度 879 1,095 263 186 12 2,435
2005年度 1,057 1,149 260 183 12 2,661
2006年度 1,130 1,203 262 180 12 2,787
2007年度 1,161 1,278 263 178 12 2,892
2008年度 1,241 1,299 264 176 11 2,991
2009年度 1,291 1,305 269 181 9 3,055
2010年度 1,289 1,326 280 178 7 3,080
2011年度 1,255 1,332 279 181 7 3,054
2012年度 1,201 1,332 279 184 7 3,003
2013年度 1,267 1,346 268 188 5 3,074
2014年度 3 1,297 1,337 267 190 5 3,099
2015年度 16 1,352 1,336 267 187 4 3,162
2016年度 23 1,396 1,343 265 185 3 3,215
2017年度 33 1,426 1,338 259 182 3 3,241
2018年度 41 1,458 1,332 253 183 2 3,269
2019年度 42 1,411 1,320 253 153 33 3,212
2020年度 34 1,414 1,313 250 148 35 3,194
2021年度 33 1,437 1,312 250 149 35 3,216
2022年度 31 1,504 1,294 249 149 35 3,262
2023年度 31 1,483 1,292 241 153 31 3,231

※年度末統計

注意事項

訓練士資格 保持資格について
訓練士資格者は、毎年開催される義務研修会に参加しなければなりません。
参加されなかった場合は、保持資格者となります。

保持資格者になると、

①昇格試験の受験ができません。
②訓練試験委員推薦対象者とはなりません。
③義務研修会への参加は免除となります。
④2年毎の登録更新手続きは行わなければなりません。

 
保持資格者から正常資格者への復帰について
保持資格者から正常資格者へ復帰するには、義務研修会に参加したうえで正常資格者復帰願を居住地のブロック訓練士協議会を経由のうえ、本会へ提出いただきます。(正常資格者復帰願の請求は、本会技術事業課 電話03-3251-1656までお願いします。)

正常資格者へ復帰した際には、

①毎年開催される義務研修会に参加しなければなりません。
②保持資格者であった期間中は、昇格試験並びに訓練試験委員推薦に必要な期間に通算されません。

お問合わせ先

一般社団法人ジャパンケネルクラブ 事業部 技術事業課
TEL.03-3251-1656